水の話
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深海の生物も生息する不思議な湾

イルカの定住する内湾
 錦江湾沿いの道路やJR線の車窓からイルカが泳いでいる姿を見かけることがあります。昔からイルカがいることは知られていましたが本格的な調査が始まったのは1999年になってからです。調査の結果、錦江湾のイルカはハセイルカとミナミハンドウイルカの2種類で、ミナミハンドウイルカは約50頭が生息し、そのうちの11頭は6年間にわたり観察され続けていることから錦江湾に定住していると考えられています。よく見られるのは湾奥部の海岸近くです。イルカが定住している内湾は、日本では錦江湾をはじめごくわずかといわれています。
一方のハセイルカが見られるのは岸から離れた場所です。時には100頭以上の群れをつくっていることもありますが、湾内で全く見られないこともあるため、湾の中と外を移動している可能性もあるようです。錦江湾でイルカが見られるということは、エサになる魚が多い証拠です。
錦江湾には黒潮が流れ込むために外洋の魚も入り込み、種類は1,000種以上はいるとされていますが、錦江湾が形成された時期が地質学的には比較的最近のため、錦江湾固有の魚が多いというわけではありません。錦江湾の特徴は海域の広さの割に水深が深いことです。そのため普段は深い場所にすんでいる生物が浅い場所で見つかることがあります。錦江湾では水深2mのところでツラナガハギという魚が釣れることがあります。この魚は日本では過去100年で神奈川県と高知県でしか捕獲された記録がない非常に珍しい魚です。それも水深が50m以深のところです。錦江湾でも普段は水深50mよりも深い場所にすんでいるのが海流などの影響で水面近くまで上昇するのではないかと考えられています。カレイも一般には砂地にすんでいますが、錦江湾では砂地以外の場所でも釣れるということです。

イルカ
錦江湾にイルカがいることは古くから知られていました。しかし本格的な調査が行われるようになったのは約10年前からです。写真はハセイルカ
(写真提供:いおワールドかごしま水族館)


錦江湾で見られる魚(いおワールドかごしま水族館にて)
アカオビハナダイ   エビスダイ   オニオコゼ
アカオビハナダイ:桜島周辺の溶岩でできた斜面にすんでいます。錦江湾以外では伊豆半島辺りなどにも生息しています。   エビスダイ:水深100mより浅い沿岸の岩場にすんでいます。体はトゲのある大きなウロコで覆われています。   オニオコゼ:胸ビレの下の方が2つに分かれ、これを使い海底を歩くようにして移動します。
 
マダイ   コトヒキ   タマガシラ
マダイ:一般には単にタイといえばマダイを指します。錦江湾はマダイの宝庫といわれています。   コトヒキ:釣り上げると浮き袋を使ってグーグーという音を出すため「琴引き」と呼ばれるようになったといわれています。   タマガシラ:水深120~130mの岩礁に多いとされています。丸い頭と体型から玉頭の名が付けられました。



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