水の話
 
自然が作り出した浄化装置

独自の条例で水環境保護の取り組み
 猪苗代湖の水が酸性であったことが、水質を日本一にしました。ところが、近年になり湖のpHが上昇し、中性化の方向に向かっています。原因として酸川の上流にある鉱山跡からの湧水量の変化、有機物を多く含む生活排水の増加など様々な影響が考えられています。湖岸に打ち上げられたタール状の黒い固まりは腐敗した植物の固まりだったのです。つまり中性化が進むと汚れを凝集沈殿させられなくなるだけでなく、湖底に沈殿している汚濁物質が溶け出して水質を悪化させることも考えられます。
こうした事態に地元では湖の環境保全のために生活系や農林水産系からの排水の規制をひとつの課題として取り組んでいます。排水を規制する法律として湖沼法があります。ところが湖沼法が規制の対象としているのはすでに汚れてしまった湖です。皮肉にも猪苗代湖はきれいすぎて湖沼法の対象にはならないのです。湖のような閉鎖性水域は、一旦汚れてしまうと、元のきれいな水に回復させるのはきわめて困難です。水環境を守るためには汚れる前に有効な手立てを実行することです。そこで福島県は独自の条例を制定するなど、猪苗代湖や裏磐梯湖沼群の水環境保全に取り組んでいます。

白鳥
猪苗代湖にも多くの渡り鳥が飛来します。白鳥もそんな渡り鳥の代表です。


窒素・リンを規制
 従来の排水規制は事業場だけでしたが、これからは一般家庭や農業などからの排水規制の充実が湖水環境を守るためには必要です。しかも福島県の条例は窒素やリンといった法律で規制されていない項目についても規制対象とし、事業場や住宅にも窒素除去型浄化槽の設置を義務づけました。平成22年度までに湖心のCODは0.5mg/L以下、窒素0.2mg/L以下、リン0.003mg/L以下の水質目標値を掲げています。また湖底の状況や水質の特性が異なる湖岸は、北部と南部に分けて水質目標値を設定しています。さらに身近な水質指標として湖心の透明度(年間平均値)を10m以上としています。
猪苗代湖や裏磐梯には美しい自然を求めて多くの観光客が訪れます。猪苗代湖は福島県だけのものではなく、国民共有の財産です。そこで観光客にも湖水環境の保全を求めています。猪苗代湖ではオランダ釣りと呼ばれる撒き餌を使った釣りが行われてきました。また、毎年冬になると多くのコハクチョウやオオハクチョウが訪れます。 
釣りの撒き餌や渡り鳥への給餌は、水を汚濁する原因とつながります。渡り鳥への給餌は集まる鳥の排泄物がさらに水質汚濁へとつながります。こうした撒き餌や給餌は期間や場所を限定したり、必要最小限としたりするように呼びかけています。またプレジャーボートの利用に対しても燃料の油や排気ガスなどによって湖水に汚濁負荷を与えないように協力を求めています。


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