水の話
 
地下からの便り

見直される井戸の価値
 おいしいお酒や豆腐などが紹介されるとき、おいしさの秘訣としてよく取り上げられるのが水の良さで、井戸水はいい水の代表のようにいわれます。しかし、井戸には現代社会だからこその重要な役目もあるのです。

 阪神淡路大震災のとき、電気、ガス、水道といった都市のライフラインは寸断され、多くの市民が不自由な生活を強いられました。そのときに活躍したのが忘れ去られていた井戸でした。以来、多くの都市ではいまも残っている井戸を調査し災害時の緊急用の水源として確保しようという動きが見られます。その一方で、地下水汚染もたびたび問題として取り上げられています。地下の様子は目に見えません。しかし、人間の地上での活動を地下水はじっと監視しているのです。 井戸

井戸用のポンプ
現在も作られている井戸用のポンプ。ピストン部分には水に強い栗の木が、弁には牛の革が使われています。(村井産業(株))
 井戸が残されている地方へ出かけると、いまも井戸にお供えものをしている家を見かけます。かつては正月になると井戸にも御鏡もちを供え、しめ縄で飾りました。井戸を粗末に扱うということは自らの生活を粗末にすることでした。日本人にとって水は決して湯水のごとく贅沢に使えるものではなかったのです。貴重であったからこそ神聖なものとして扱われていたのです。

家庭で使われていた井戸が次々と姿を消し、家庭で使う井戸を掘る職人さんがほとんどいなくなった今、これから新しく井戸を作るということは、ほとんど不可能なことかも知れません。しかし、水を大切に扱うということは、これからもずっと続けていかなければなりません。

ポンプ 協力井戸 災害時の水を確保するため、自治体から指定されている協力井戸。


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