水の話
 
井戸の歴史

いまも使われている地下水
 地下水は水温の変化が少なく、水質も良好で年間を通して安定的に得られるため、これまでさまざまな用途に使われてきました。用途別では最も多いのが工業用水です。ただ、過去においては地下水の汲み上げ過ぎによって地盤沈下や地下水位の低下といった深刻な問題もありました。そのため地下水の汲み上げの規制が行われ、現在では地盤沈下の被害はかなり少なくなっています。それでも工業用水道からの水に比べると地下水は安価で水質も良好なため、年間に約43億立方メートルも使われています。この他にも農業用水、養魚用水、生活用水、建築物用(冷暖房用)などを合わせると年間で約147億立方メートルもの地下水が使われています。これらの地下水を汲み上げるのにも、やはり井戸が使われています。井戸といっても釣瓶や手押しポンプで汲み上げているわけではありません。地下のかなり深いところから、揚水ポンプによって汲み上げられます。近代的上水道の水源として使われている井戸もあります。このように見ると井戸はいまでも大切な水源として使われているともいえるでしょう。
地下水使用の用途別割合
(全体:146.6億m3

地下水使用の用途別割合
資料:平成11年版 日本の水資源

井戸屋形 自噴井戸
明治時代の富農の屋敷を復元したときに作られた井戸と「井戸屋形」。井戸屋形に滑車をかけて釣瓶で水を汲みました。井戸の深さは約8メートル。(愛知県東加茂郡足助町) 自噴井戸は被圧地下水のため、人力を使わなくても水は常に湧き出しています。(千葉県袖ケ浦市)

井戸屋形 自噴井戸
釣瓶井戸に使われる滑車は固定式のもので、運動の方向を変えるために使われるだけです。ただし、綱の両端に桶を取り付けるため、一方の桶を井戸底へ降ろすと同時にもう一方の桶で水を汲むことができる分、無駄がないといえるかもしれません。桶につける綱はシュロ縄で作られています。  跳ね釣瓶の井戸は桶は一つですが、井戸から少し離れた所に支点を置き、テコの原理を使うため、水を汲み上げるのにはそれほど力は要りません。ただし、桶を井戸の中へ入れるときには、多少の力が必要です。(愛知県南設楽郡鳳来町)


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