水の話
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新しい川と人との関わり

里川で安らぎと賑わいを創出

 埼玉県熊谷市の中心部を1本の細い川が流れています。江戸時代の初期に荒川の氾濫によってできたもので、玉ノ池(現・星渓園)から湧き出る水を水源にしている星川です。昔から農業用水として利用されていましたが、以前は染物を洗ったり、子どもたちの水遊びの場となっていました。昭和50年(1975)から広場を作り、彫刻像を設け「水と緑と彫刻のプロムナード」として整備が進められ、今では熊谷市のシンボルとなっています。星川を中心にしてさまざまなイベントも開催され、市民にとってコミュニケーションの場にもなっています。
川を中心にして地域のコミュニケーションが活発になり、活性化が図られることも、新しい川と人との関わり方であり、こうした川も里川の一つと言えるでしょう。
上水道が未整備の時代には炊事や洗濯などの水を確保するため井戸が重要な役割を果たしていました。井戸に集まった主婦たちは雑談に花を咲かせ、お互いのコミュニケーションを図りました。これを井戸端会議といっていましたが、これからは川が井戸の代わりとなり、川端会議という言葉が生まれてくるかもしれません。人と自然が切り離されてしまった都市部にこそ、こうした里川が必要なのかもしれません。



里川づくりを通して育つ新しいまちと人
 埼玉県は里川づくり県民運動のムーブメントとして、台所等生活排水対策の一斉取組や環境学習など様々な事業を展開し、開始以来2年間で16万人もの県民が参加しています。川をきれいにすることの大切さについて、多くの人が気づきはじめました。
川をきれいにするために、単独浄化槽から合併浄化槽への転換や浄化槽の法定点検をきちんと行うことが大切なこともわかっていますが、川をきれいにするためという理由だけでは、なかなか行動に移せない人が多いことも事実です。
里川づくりによって人と川との関わりを見直し、川の持つ新しい機能を創り出していくことが合併浄化槽への転換の一つの動機になることは確かです。埼玉県には生活排水を水源とする川がたくさんあります。川底まで透き通り、水草が生え、たくさんの魚たちが泳ぎ、多くの水鳥やトンボなどの姿がみられ、子どもたちの遊ぶ光景を取り戻すことができたならば、新しいまちづくり、人づくりにもつながるのです。


星川
熊谷市のシンボルとなっている星川。都市の中であっても、川は人がやすらぐ場所としての機能を持っています。




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