カルデラの中に人が住み着き始めたのは石器時代からのようです。ただし湿地状のところは人が住んだり、畑を耕したりするのに適した場所ではありません。カルデラの中は元々が湿地のためススキなどのイネ科の植物が茂り、森林ではなかったようです。弥生時代になると湿地の一部を利用して米がつくられるようになっていきます。湿地が乾いていくにつれ人は生活圏を広げ、やがて中央火口丘群や外輪山の麓を利用するようになっていきます。さらに労働力として牛馬が使われるようになっていきます。
阿蘇の代表的な風景の一つが阿蘇五岳の一つ、烏帽子岳の麓に広がる草千里ケ浜です。ここは中央火口丘群の中にあります。草原は中央火口丘群だけでなく外輪山の至る所で見られます。阿蘇一帯の草原の総面積は23,000haにも及ぶとされています。
世界で草原のある地域は一般的に年間降水量が300mm以下の地域です。それに対し阿蘇は年間降水量が約3,000mmもあります。このような雨の多い地域では自然のままの状態で草原であり続けることはできません。阿蘇の草原は千年以上もの昔から人の手によって維持され続けてきたものです。 |