水の話 サケの遡上part1
いまだ謎の多いサケの生態

 川で生まれ、北の海で育ち、再び生まれた川へ戻るサケ。かつては遡上するサケの群で川面が埋め尽くされることがしばしばありました。しかし、乱獲などにより、1890年頃からサケは激減していきます。その後のサケの研究やふ化事業により、多くの川にサケが戻るようになりました。それでも、サケについては、まだまだ分からないことがたくさんあるのです。

アユやシシャモもサケの仲間
 サケという言葉から、多くの人は一定の姿形の魚を連想します。ところが、スーパーマーケットなどへ行くと、ベニザケ、ギンザケ、シロザケ、キングサーモンなど、サケにもいろいろな種類のあることが分かります。これらの中で、たんにサケという場合は、シロザケを指すことが多いようです。一方、英語でサケはサーモンと言っていますが、レッドサーモン、キングサーモンを日本語にするとベニザケ、マスノスケとなります。ところがベニザケはヒメマスと同一の魚です。一生を川で過ごせばヒメマス、海へ下ればベニザケとなるのです。また、サケの缶詰の中身は、ほとんどがカラフトマスです。
 サケの仲間とされる魚の中で、サケ科の魚は、渓流の魚として有名なイワナ、ヤマメなどを含め世界に約70種いると言われています。さらに大きな区分けであるサケ目ではアユ、ワカサギ、シシャモ、シラウオといった魚も含まれています。これらの魚に共通している点は、背ビレと尾ビレとの間に、小さな「あぶらビレ」のあることです。
 サケは川で生まれて海で成長し、再び生まれた川に戻ることで知られていますが、サケ科の中には海に下らず、一生を河川や湖沼で過ごすものもいます。これを陸封型とか河川残留型などと呼び、ベニザケの陸封型がヒメマスで、サクラマスの陸封型がヤマメです。



(写真提供:標津サーモン科学館)

生まれた川へ戻る秘密は「におい」
 シロザケはほぼ100%の確率で生まれた川へ戻るといわれています。またベニザケは本流から支流へと、ほぼ間違いなく遡上してくるのです。生まれた川を探し当てるのは、においによるといわれていますが、それがどんなにおいなのかは、まだよく分かっていないのです。
 生まれた川をにおいによって探し当てることはいろいろな実験で確かめられているのですが、そのにおいを頼りにできるのは河口部からしか使えないはずです。1万キロも離れた北の海から、どうやって河口部まで辿り着くのでしょうか。これには太陽の位置、地球の磁気、海流などから自分の位置を確かめるといった説がありますが、どの説も確定的なものとはなっていないようです。しかし、もっと不思議なのは、どのようにして自らが成育する海の場所へ出かけるのかということです。秋に産卵、受精したサケは、約2カ月でふ化し、4月~6月頃に海へと下り、北洋の海を目指します。サケは幼時に生まれた川のにおいを刷り込まれます。遠い海から戻ってきたサケは、少なくともにおいを頼りとすることが可能です。しかし稚魚にとって海ははじめて経験する場所であり、目標とすべきものはもっていないのです。


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