水の話
 
湿地という言葉で表される場所

自然による水の浄化
 雨となって地上に降った水があるときは蒸発して雲となり、すぐに地上へ戻る場合もあれば、川の水となり海へと至り深層水になる場合もあります。水はごく限られた狭い地域で循環を繰り返すこともあれば、地球全体を舞台にして循環を繰り返していることもあるのです。こうした循環を繰り返す過程で、汚れた水も元のきれいな水に戻るのです。
きれいな水といっても純粋な水という意味ではありません。小学校の理科の時間に蒸留水をつくる実験をしたことがある人は多いはずです。水は酸素(O)と水素(H)の2つの元素からつくられ、H2Oという化学式で表わされます。ところが水はあらゆるものを溶かし込むという性質を持っています。空気中に含まれている窒素や二酸化炭素なども溶かし込みます。水を入れた器に含まれている元素も溶かし込んでしまいます。だから地球上にH2Oだけで存在する水はありません。そして地球上に存在するほとんどすべての元素を溶かし込んでいるのが海水で、その中には金も含まれています。海水が蒸発するときには、蒸留水と同じでかなりの量の不純物が除去されて水蒸気となり、雲をつくり雨や雪を降らせるので、大気が汚れていなければ雨水はきれいです。
地表に降った雨は当然土や岩石に含まれるさまざまな成分を溶かし込んでいきます。そして適度なミネラルを含んだ水がおいしい水だとされています。また、土中に含まれる有機物も溶かし込みます。しかもこれらの成分があるからこそ、水中や流域の生物が育つのです。
一方、有機物は水の汚れの原因にもなりますが、川は有機物による水の汚れを浄化する働きを持っています。ゆったりした流れの場所でごみなどを沈澱させ、流れの速い場所で酸素を取込みます。水中の酸素は汚れを分解してくれる微生物を育てます。
河口の干潟でも微生物や貝類が有機物をえさにするなどして汚れを取り除きます。こうした浄化の働きが十分機能しているときは、水がきれいに保たれています。


決して豊かとはいえない日本の水資源
 一度使われて川などへ放流された水は自然の中では再び戻ってきます。人間がどれだけたくさんの水を使ったとしても地球規模から見れば水の絶対量が減るわけではありません。しかし、水を供給する場所や大量に使用する場所は限られています。水の需要が多い地域では水不足になる場合がでてきます。さらに、使って汚れた分だけその地域の水環境は悪化します。そこで水不足にならないように、しかも水環境の悪化を防ぐには、水の使用量を減らすことが重要になってきます。
日本の年間平均降水量は世界平均の約2倍の約1,700ミリ、約6,500億立方メートルです。しかし、降水量から蒸発などによって失われた水の量を差し引いた、理論上での最大限利用可能な水の量は、年間で1人当り3,337立方メートルです。この量は年間降水量が約650ミリのフランスや約717ミリのイタリアとほぼ同じです。こうした数字から見れば日本は必ずしも水資源に恵まれた国とはいえないのです。
川
ダム
山に降った雨は海まで流れていく間に様々なものを溶かし込みますが、基本的には自然の浄化作用によって汚れることはありません。ただ、途中の都市などから生活排水などが大量に入り込むと、川の浄化作用は十分に機能できなくなってきます。

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