水の話
 
陸上の生活から水の中へと進出した虫
都市の中にも、水のきれいな川が増えてきました。
それだけエサが増えたためか、水鳥も増えています。
サギの仲間でしょうか。細い足で川の中を歩き回り、嘴で水の中を盛んに突ついて餌をついばんでいます。
鳥たちが餌にしているものは小魚やザリガニだけでなく、水生昆虫と呼ばれるものもいます。

水がきれいになれば増えてくる水生昆虫
子供たち 子供たちが川の中で、必死に何かを探しています。水中の石を引っくり返して覗き込んでいる子供もいます。河原のバケツの中にはいくつかの虫がいます。どれも同じような形に見えますが、よく見るとそれぞれ違っています。
水の中にすんでいる生き物の種類や数を調べて水の汚れを知る方法があります。それによって調査した地点の水をきれいな水から大変汚い水までI~Vの階級に簡単に見分けられます。子供たちでも水に親しみながらできるので、小中学生によってよく行われます。こうした方法で水質を調べるときの生物は「指標生物」と呼ばれています。ただし、指標となる生物は地域によって若干異なる場合があります。
水質を調べる指標となる生物には、昆虫の仲間がたくさん含まれています。とくに水がきれいになるほど昆虫が増えています。魚などに比べて捕まえやすいということもあるのでしょうが、それ以上に水生昆虫は種類が多い、ということも指標生物になっているのでしょう。

アメンボ 飴のような甘い匂いを出し、棒のような体からアメンボと呼ばれるようになったと言われています。成虫になっても翅(はね)を持たない無翅(むし)型と翅を持つ有翅(ゆうし)型がいます。アメンボの仲間はほとんどが止水域で生活していますが、シマアメンボだけは渓流にすんでいます。

生物の中で種類が最も多いのが昆虫
 これまでに知られている地球上の動植物は数百万種だといわれていますが、実際にはこの数倍から数十倍はいると考えられています。そして、知られている動植物の中で最も種類の多いのが昆虫で百万種以上です。昆虫は高山から地中や洞窟などの地下、砂漠、森林など地球上の様々な場所に生息しています。ほとんどの昆虫が陸上で生活していますが、もちろん水の中にもいます。水の中といっても、大半は淡水で海水にはわずかな昆虫が知られているだけです。
一生のうち一時期あるいは一生を水の中で過ごすものを水生昆虫と呼んでいます。一時期といっても、幼虫、サナギ、成虫などいろいろです。しかし、卵のときだけ水の中で過ごすとか、幼虫のときは陸生で成虫になってから水中生活を送るという昆虫はいないようです。幼虫の時代にカワニナという貝を食べて育つホタルやヤゴとして水中で暮らすトンボも、当然水生昆虫です。水生昆虫は幼虫のときまで水中で暮らすものが多く、一生を通じて水の中というものは少ないようです。水といっても、川や池といった場所だけを指すわけではなく、水分のある場所のことです。汚物の中で幼虫時代を過ごすハエも水生昆虫の仲間ということになります。
ただ、水生昆虫についてはまだまだ分かっていない部分が多く、昆虫全体の数%程度が水生昆虫ではないかといわれています。


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