水の話
 
コケの役割と苔文化

大気汚染の影響を受けやすいコケ植物
 ときどきコケ植物がついた木を見かけることがあります。こうしたコケ植物は着生ゴケあるいは樹幹着生蘚苔類と呼ばれています。一般にはヤマゴケとも呼ばれ、シラガゴケの仲間が多いようです。ただし、木の幹には薄い緑色をした細かなものがついていることがありますが、それはコケ植物ではなく、地衣類です。
これらの着生ゴケや地衣類が分布している場所をよく観察すると、ある程度の法則があるようです。例えば幹線道路に面した場所に、樹木の豊富な神社があったとします。道路に面した樹木には地衣類が多く、道路から奥まった場所に行くほど着生ゴケが多くなってきます。
コケ植物は気温や水分などの環境に関しては、かなり厳しい条件でも耐えられますが、大気の汚染に対してはかなり敏感に反応します。多くのコケ植物の葉の細胞層は1層しかないため、大気の影響を受けやすいと考えられています。家の近くなどで樹木の幹に着生しているコケ植物を見つけて変化を調べてみると、大気汚染の状態がある程度は判断ができそうです。
大気汚染物質を体内に取り入れやすいということは、水銀、亜鉛、カドミウム、ニッケル、マンガンといった重金属なども体内に取り入れやすいということです。ところが中には銅を好んで体内に取り入れるコケがあります。その代表が東京の本門寺の石垣に生えているホンモンジゴケで、銅で葺かれたお寺の屋根から流れ落ちる雨水があたる場所に発生します。この他、放射性物質を蓄積するコケ植物もあり、こうしたコケ植物を利用して、重金属や放射性物質で汚染された土壌などを浄化する研究も進められています。

石垣のコケ

コケ庭は水への思い
コケ植物 コケ植物は海を除いて地球上のほとんどの場所で生育するという強い生命力を持つと同時に、水質や大気などの環境に敏感で、環境のバロメーターとしても使われています。ただ、これまでの日本では、実用的な利用よりコケ庭や盆景といった庭園文化での利用が主でした。最近注目されはじめたコケ植物による屋上緑化は、庭園文化と環境とが融合したものといえるかもしれません。
コケ植物のもつ優れた保水力は日本の水環境を守る上で大切な役割を担ってきたはずです。そういった点から考えてみると、日本でコケ庭の文化が発達したのは、水に対する思いがどこかでつながっているようにも思われます。


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