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防災・減災の視点で考える浄化槽の利用価値

“災害時のライフラインとして活躍する浄化槽”

被災時の避難生活ではあらゆる面が日常とは異なり、睡眠不足やストレスからくる体調不良など、被災した方々の体には大きな負担がかかります。
中でもトイレの利用ができなくなることによって、健康面や精神衛生面で悪影響を受けるケースが報告されています。こうした教訓から多くの自治体では汚水処理を重要なライフラインと位置づけ、防災の観点から浄化槽へ取り組む動きが広がっています。防災・災害に対するフジクリーンの取り組みをご紹介します。

仮設住宅用浄化槽の設置

災害時、被災した方々の生活基盤となるのが仮設住宅です。
フジクリーンでは多くの仮設住宅や施設に、汚水処理設備として浄化槽を設置し、被災した方々の生活に貢献してきました。
熊本地震では、環境省が東日本大震災の経験を踏まえ発表した指針により、汚水流量の変化に柔軟に対応する中型浄化槽の複数設置方式が採用されるなど、復興を支えるライフラインとして浄化槽の積極的な活用が注目されています。
※応急仮設住宅に設置される浄化槽の施工・維持管理・有効利用における留意点

益城町のテクノ仮設団地に設置された浄化槽(CSLⅡ-50型×20基、CSLⅡ-45型×8基)

浄化槽を複数基設置する理由

仮設住宅では、住民の転入や転出が頻繁にあるため、浄化槽に流入する汚水量が一定しないことが多々ありますが、浄化槽を効率的に運用するためには、流入汚水量を安定させることが重要です。
そのため、生産スピードが比較的早い中型浄化槽を複数基設置し、流入汚水量に応じて稼働基数を調整する分配方式が適しています。

非常用浄化槽の導入

平成29年3月国土交通省からの通知により、下水道処理区域内でも災害時の利用を想定した合併処理浄化槽の設置が可能となりました。
大阪府堺市の広域防災拠点や奈良県大和高田市の防災拠点では、自家発電装置や海水淡化装置などとともに浄化槽がすでに設置されており、下水道が使えなくなった際は、配管操作によって汚水の流れを浄化槽へ切り替える仕組みが構築されています。
※災害時に設ける合併処理浄化槽の建築基準法上の取り扱いについて

マンホールトイレ:一時避難所への導入

マンホールトイレとは、浄化槽・下水道の上に簡易トイレをのせる災害用トイレです。
既存の水洗トイレが使えなくなった被災地では、被災者の健康を支える重要な役割を果たします。
マンホールトイレは設備コストが抑えられ、簡単に設置できることから一時避難所となる学校施設などにおいて導入の動きが広がっています。
※避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針(平成25年8月 内閣府)

東日本大災害の現場の声

避難所のトイレ衛生対策が不十分であれば、健康被害はもちろん感染症が蔓延する恐れがあります。東日本大震災の現場では、実際何が起こっていたのか……。

1. 水洗トイレは使えない

下水道管の仮復旧までに平均34日もかかり、その間水洗トイレは使用できなかった。水が流れないトイレを使用したら、すぐに便器内は排泄物の山となる。

2. 仮設トイレが来ない

トラックで搬送される仮設トイレは、道路の寸断や交通渋滞などによりすぐに調達できないことも。最も日数を要した自治体では、65日と報告された。

3. 排泄は待ったなし

排泄は我慢できない生理現象である。発災から何時間でトイレに行きたくなったのかを調査したところ、9時間以内が78%となった。

水洗トイレが使えず、仮設トイレも来ない避難所では、排泄物が山となったトイレがたくさん見受けられた。このような状況下では、排泄を我慢するため、水分や食事を控える人も少なくない。それにより体力が低下するばかりでなく、脱水症状やエコノミー症候群も危惧されることから、避難所のトイレ環境の重要さが分かる。
※出典:日本トイレ研究所発行「東日本大震災 3.11のトイレ ―現場の声から学ぶ―」

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