水の話
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森林は大切な資源

植生は自然のままでも変化する

 森林はそのままの状態で放置しておくと植生が変化していきます。落雷などの森林火災によって裸地となった場所は、最初にススキなどが生えてきます。やがて風や動物によって種子が運ばれ、日の光をより多く好む木が生えて陽樹林になります。陽樹によってできた日陰には日の光が少なくても育つ陰樹が芽生えます。陰樹が生長すると陽樹は生育しにくくなり数を減らしていきます。こうした植生の変化を植生遷移といい、最終的には極相林と呼ばれる一定の植生の森になります。ところが人が利用するため木を伐採したり下草を刈り取るなどによって植生遷移が途中で中断されると、その状態が保たれます。雑木林や里山と呼ばれる森林はこのような人の手によって植生遷移の途中の状態が保たれてきた林です。
人工林も手入れが必要です。人工林として木を育てる場合、最初はたくさんの苗木を植えて、木が生長するに従い間伐を繰り返します。間伐された木も、かつてはさまざまな用途に使われていました。ところが安い木材が海外から輸入されるようになって国内の木材需要が減少すると、それまでの林業経営が成り立たなくなりました。間伐や下草刈りなどが行なわれなくなった山は荒廃していきます。


腐植土
落葉広葉樹林によって作られた腐植土は雨を溜め込み、洪水調整や水源涵養、水質浄化などの役割も果たします。


森の中
森の中にはいると気分が清々しくなります。光合成の時に酸素を放出するだけでなく、木の精油成分も森の中に含まれているからです。心身を癒してくれるのも森林の持つ機能の一つです。


都市の生活と安全を守る山

 林業が盛んであった頃は山林所有者が山の手入れを行なっていました。しかし林業の衰退と共に山林は放置されるようになりました。
間伐が行なわれなくなった人工林は密生して日の光が森の中まで十分に届かず、根も張れません。幹の下の方の枝は枯れ、葉は樹冠にしか茂りません。森の中は痩せた木ばかりとなり、風や積雪によって倒れやすくなります。下草も生えなくなり、降った雨はそのまま地表を流れ、表土を削り取り、根が地表に露出することもあります。水が浸透しなくなれば森の保水機能が損なわれ、土砂崩れ、洪水の危険性が増大します。降った雨が地中ヘ浸透しにくくなれば、水の浄化機能も低下します。
平地の少ない日本では海岸部に人口が集中し、多くの都市が形成されています。水源地は都市から遠く離れた山間部です。山林が荒廃すれば水不足、水質の悪化、さらには洪水の危険などさまざまな弊害がでてきます。山の恩恵を一番強く受けているのは遠く離れた都市だともいえるのです。



木の根の露出
日の光が届かなくなった森は下草が生えず、降った雨が地表を流れ、時には木の根を露出させてしまうこともあります。


土砂崩れ
根が十分に張れないと地面の土や岩を抑えることができなくなり、土砂崩れを引き起こすことがあります。


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