水の話
メニュー1 2 3 4 5 6次のページ
 
清流ルネッサンスで清流を取り戻す試み
川岸に大きなエノキが生えています。この大木を中心に小さな森があります。綾瀬川をワーストワンの川から脱却させる取り組みの一つとして再生された森です。森の中では桑の実が赤く色づきはじめています。森そのものは小さなものですが、住民の清流復活への思いはとても大きなものです。

岸辺に再生された森
 足元の草むらの中でヘビイチゴが赤い小さな実をつけています。水際にはヨシが茂り、水辺の近くにはセリも生えています。ハンノキ、クヌギ、コナラ、コブシなどさまざまな種類の木が川風に葉を揺らしています。河畔林として綾瀬川の岸に復活した森です。森の木は上流から流れてきた苗が根付いたものもあれば、鳥が種を運び自然に芽生えたと思われるものもあります。人の手によって移植された木もあります。おそらく、かつての綾瀬川では普通に見ることのできる光景ではなかったかと思われます。
昭和30年代から40年代にかけての綾瀬川の水質は、BODの値が20~30mg/Lになっていたことがありました。でも現在は5mg/Lに近い値となっています。それでも毎年、国土交通省が発表する全国の一級河川の水質調査によると、全国的にはかなり低いレベルとなっています。多くの一級河川の水質が改善されていく中で、綾瀬川の水質改善のスピードが遅いのは自己水源が少なく、流入河川の水が汚れているからです。
全国各地の河川で「清流ルネッサンス」(水環境改善緊急行動計画)と呼ばれる取り組みが進められています。これは国土交通省が地域と一体になって河川などの水環境を改善しようという取り組みで、対象となる河川等は国土交通省が選定します。
綾瀬川も平成7年度(1995年度)から「清流ルネッサンス21」を、平成12年度(2000年度)からは「清流ルネッサンスII」に取り組んでいます。河川浄化の取り組みは国や各自治体だけの力で行なえるものではありません。工場から廃水を放流する企業や地域住民の協力が不可欠です。
綾瀬川の「清流ルネッサンス21」では生活排水が直接流れ込まないように下水道や浄化施設の整備の他、地域住民が参加できる仕組みとして「綾瀬川クリーン作戦」や「みんなで水質調査」などが実施されてきました。


河畔林
綾瀬川で再生された河畔林の中では草の間に白いサギゴケが可憐な花をつけていました。今では珍しくなったカワヂシャやナガボノシロワレモコウ、アカワレモコウもこの森には生えています。川面ではカモやサギの仲間などの水鳥もよく見かけます。エサとなる小魚などがたくさんいる証拠です。 カモやサギの仲間


誰もが実感できる形での目標
 綾瀬川の「清流ルネッサンス21」の実施によって水質は少しずつ改善されています。田植え時期には田んぼの泥が混じり水は濁ってしまいますが、普段は岸辺近くの川底を見ることもできます。それでも水の汚れが十分に改善された状態とはいえません。そこでさらに良好な水環境を目指して平成12年度から取り組んでいる「清流ルネッサンスII」では、BODの値を環境基準である5mg/L以下にすることを目標として掲げています。ただ川がきれいとか汚れているというのは、単にBODだけの問題ではありません。川自身が自然の浄化力を発揮できる状態にすることが大切です。そのためには川を中心とした自然の生態系の回復、あるいは地域の人々が憩える場所にすることも重要です。
美しい川や自然の風景が復元されたならば、人はその美しさを守り、さらに美しくしたいと願うはずです。水質改善目標としてBODの値を掲げたとしても、それだけでは具体的な行動に結びつきにくい面があります。そこで「清流ルネッサンスII」では、美しい綾瀬川を取り戻すため、水の色が無色で川底が見えるようになること、多様な生き物が棲息すること、ゴミがなくなるといった具体的で、誰でもが実感できる目標が掲げられています。

ヨシ   白川に合流する黒川
綾瀬川の岸辺では所々でヨシが生えています。ヨシが生えている部分の水はきれいで、小魚の姿も見られます。 再生された河畔林の対岸の土手にも可憐な花が咲いています。


メニュー1 2 3 4 5 6次のページ