水の話
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暮らしを支える水

水道水源を守る

 湖沼法が成立した翌年、霞ヶ浦(茨城県、栃木県、千葉県)、印旛沼(千葉県)、手賀沼(千葉県)、琵琶湖(滋賀県、京都府)、児島湖(岡山県)の5つの湖沼が指定湖沼となりました。指定湖沼となるためには窒素やリンが何mg/L以上といった汚れの水質基準はありません。重要なことは湖沼の水がどのように利用されているのかです。現に指定湖沼となった5つの湖沼はかなり汚れていたという実情もありましたが、これら以上に汚れのひどい湖沼は存在します。5つの湖沼が指定湖沼となった大きな理由は水道水源として利用されていたことです。
その後昭和61年(1986年)に諏訪湖(長野県)、昭和62年(1987年)に釜房湖(宮城県)、平成元年(1989年)に中海(鳥取県、島根県)、宍道湖(島根県)、平成6年(1994年)に野尻湖(長野県)、平成19年(2007年)に八郎湖(秋田県)が指定され、現在は全国11の湖沼が指定湖沼となっています。
指定湖沼になると浄化槽や下水道整備、あるいは排水規制などの水質保全計画を5年ごとに作成しなければなりません。しかも水質汚濁防止法の基準よりもさらに規制を厳しくすることも可能です。例えば指定湖沼となっている霞ヶ浦では1日の平均排水量が50m3以上の工場や事業場だけでなく、1日の排水量が10m3以上の工場や事業場までを規制対象としています。
また、排水基準を決めたとしても、水で薄めて排水すれば基準をクリアさせることが可能です。そこで排水に含まれる窒素やリンを総量で規制する「総量規制」が行なわれています。こうした一般の法律よりも厳しく規制することを「上乗せ規制」と言っています。
規制を厳しくするとはいっても、工場や事業場などの場合は汚濁源が限定されるため排水処理装置を設置することによって基準値内の水質を確保することは決して難しいことではありません。問題は農地や市街地のように汚濁源が広範囲に及ぶような場合です。田畑では肥料が使われますが、全てが作物に吸収されるわけではありません。雨水とともに河川に流入したり、地下へ浸透したりします。
湖沼法が成立して約25年経ちますが、指定湖沼となった湖沼で水質が大幅に改善されたところはありません。11の指定湖沼の主な汚濁源を見てみると生活系、農業系、自然系などが多く、産業系は多くはありません。
アスファルト舗装の行き届いている市街地の汚れも、雨水によって河川へ流れ込みます。また山林などの自然から排出される汚濁もあります。こうした広範囲に渡る汚濁原因を「面源」と呼んでいます。

指定湖沼
八郎湖
八郎湖(写真提供:秋田県八郎湖環境対策室)
中海
中海
宍道湖
宍道湖
諏訪湖
諏訪湖
児島湖
児島湖(写真提供:岡山県生活環境部環境管理課)
野尻湖
野尻湖
琵琶湖
琵琶湖
釜房ダム貯水地
釜房ダム貯水地(釜房湖)
霞ヶ浦
霞ヶ浦
印旛沼
印旛沼(写真提供:千葉県生活環境部水質管理課)
手賀沼
手賀沼(写真提供:千葉県生活環境部水質管理課)
 



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