水の話
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山の恩恵を受ける都市

森林所有者と共に水源の森林づくり

 水源の森林づくりというのは相模湖(相模ダム)、津久井湖(城山ダム)、宮ヶ瀬湖(宮ヶ瀬ダム)、丹沢湖(三保ダム)の上流を中心としたエリア内の私有林を対象に水源林として確保し、公的な管理によって水源涵養機能の高い森林づくりにしていこうという事業です。森林整備の手法は森林所有者が行う森林整備の経費の一部を助成する協力協約、森林所有者との協定(借り上げなど)により森林を整備する水源協定林、森林所有者との分収契約により森林を整備する水源分収林、そして買取の4つがあります。
水源環境保全税による事業ではありませんが、平成19年度からは水源の森エリアにある酒匂川水系の中津川上流の「やどりき水源林」で成長の森事業が始められました。赤ちゃんが生まれた家族にケヤキ・ホオノキ・イロハモミジ・ヤマザクラ・クヌギ・カツラ・ヤマボウシなどの広葉樹の苗木を購入してもらい植樹してもらいます。植樹した区画には赤ちゃんの名前を記したプレートが設置されるので、子どもの成長と共に木の生長を楽しんでもらいながら森への愛着を持ってもらおうというユニークな事業です。



増加する水源地での窒素・リン
 水源の保全・再生のうち、河川の自然浄化対策では、市町村の予算で行なわれる事業に対して、水源環境保全税が使われます。これまでの河川管理は治水の観点から護岸や川床をコンクリートで固める方法が行なわれてきました。しかしコンクリート三面張にすると動植物の生息に適さない環境となってしまい、河川の自然浄化機能も損なわれてしまいます。そこで多自然川づくりを行なったり、木炭などを利用した水質浄化ブロックを河川に設置したりして水質改善を図っています。
相模湖、津久井湖の周辺と上流域の人口は県外上流域も含め約27万人ですが、これらの水源地域では生活排水処理施設の整備が遅れ、窒素やリンがダム湖へ流入しています。これらの地域では汲み取り式や単独浄化槽がたくさん残っており、ダム集水域の生活排水処理率は44%(平成15年度末)にとどまっています。
さらに森林や田畑などの自然系からの汚れというものもあります。相模湖、津久井湖の集水域である山梨県の私有林の人工林のうち、60%が荒廃しているとされています。枯葉や枯れ枝、昆虫や動物の死体や糞といった有機物には、当然、窒素やリンが含まれています。大気中にも都市や工場などから排出された窒素酸化物があり、それが山林地域へ移流して降下します。自然系の汚れの原因は森が荒廃したことによって、窒素やリンが他の植物に吸収されたりすることなく、流出していることも理由の一つとして考えられています。
このような現状から神奈川県では排水対策の強化に取り組んでいますが、ダム湖を抱える水源地域では地形や人口密度の点で公共下水道による集合処理の難しい地域が多いため、個別処理方式である窒素・リンを除去する高度処理の合併処理浄化槽の整備も促進しています。また相模川流域では「桂川・相模川流域協議会」をつくり市民、事業者、行政が県境を越えた流域環境保全の取組を進めています。

用水路
山村を流れる河川の水はきれいに見えますが、生活排水によって窒素やリンが含まれていることがあります。




森と水を守るのは水源地域の使命
 酒匂川水系の一つである河内川を塞き止めて作られた丹沢湖(三保ダム)は、静岡県と山梨県とに接する神奈川県西部の山北町に位置しています。町の面積のうち約9割が丹沢大山国定公園と県立自然公園に指定されています。丹沢は標高1,673mの蛭ケ岳を最高峰に、東西約40km、南北約20kmに及び、ブナの原生林があることでも知られています。丹沢でも林業の衰退によって人工林が荒れ、自然林も荒廃しています。このままでは山の保水機能や水源涵養機能が失われてしまいます。
自然林の中でも近年はブナの立ち枯れが目立つようになってきました。原因として工場や自動車の排気ガス、酸性雨、ブナの葉を食べるブナハバチの発生、シカの過密化による林床植生の退行が考えられます。シカがエサとして樹皮を食べると木が枯れてしまいます。また草を食べることで地表がむき出しになり、雨水によって表土が削り取られやすくなってしまいます。それでも、丹沢湖へ流入する河川の水質は非常にきれいです。
ところが丹沢湖から流出している河内川と御殿場市方面から流れてくる鮎沢川が合流する辺りの両河川の水質は上流部ほどにはきれいではありません。
こうした水質を見る限りでは、現在のところ問題があるとは思えません。そうしたなかで山北町では丹沢湖へ流入する河川域で水源環境保全税を利用して生活排水処理対策を進めています。豊かな水資源を損なうことなく次世代に引き継ぎ将来にわたり良質な水を安定的に県民が利用できるようにするためだとしています。いまのうちに取り組めば、水源地域の水環境保全が可能だからです。
山北町や相模原市といった神奈川県の水源地域では、水源を守っていくことが重要な使命だとしています。

丹沢湖へ流入する河川の汚れの比較

水
西丹沢の山々に降った雨を集める丹沢湖は、神奈川県にとって大切な水がめの一つです。この水を守るのは水源地の森の木々です。そして森を守るのは神奈川県の人々です。


丹沢湖


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