水の話
 
閉鎖性水域の中で起きている変化
金魚鉢を部屋の中に置いたときよりも庭に置いたときの方が、水は早く汚れます。
日が当たるため、藻が発生したのだろうと予測できます。
では、なぜ日が当たることによって藻が発生するのでしょうか。しかし、頻繁に水替えを行えば、汚れは防げます。
湖沼や内湾などの閉鎖性水域でも同じことが起きているのです。

水が汚れる原因
湖 10数年前に比べ、最近は川がきれいになったように感じられます。かつては空きカンやビニール袋に入ったゴミ、自転車までもが捨てられている川もよく目にしました。こうしたゴミを捨てることに対して法的な規制が厳しくなる一方、地域住民による川をきれいにする運動が盛んになり、いまでは川の清掃活動に取り組んでいる地域や学校の話もよく聞かれます。ゴミがなくなったばかりか水そのものの濁りも少なくなっています。池や湖に捨てられるゴミも少なくなっているようです。
ところが、こうした水環境の汚れが見かけほどにはきれいになっていないという現実があります。この場合の汚れとは、水そのものがきれいかどうかということです。
水の汚れは一般に生物化学的酸素要求量の英文の頭文字からとったBODの数値が指標として使われ、しばしば汚れそのものを表す言葉としても使われます。水の中の汚れを微生物が食べて分解するときに酸素が必要となりますが、そのときの酸素の量が多いほど水が汚れていることを数字で表したものです。河川や湖沼、内湾などにおける水の汚れる一番大きな原因は、生活排水だといわれています。
一般に、魚がすめるBODの値は5mg/以下です。ところがラーメンの汁のBODは25,000mg/、醤油のBODは150,000mg/にもなります。そのため、これまでは排水に含まれるBODの除去によって水をきれいにする取り組みが行われてきましたが、湖沼や内湾などのBODは、なかなか減少していないのが実情です。
では、この場合の水の汚れの正体は何かといえば「有機物」といわれるもので、動物や植物などの生命体を構成しているものです。例えば水槽の中にたくさんの魚を入れ、水草を植えたとします。水の入れ替えを全く行わない状態で放置し、やがて魚が死に水草が枯れると、それらは腐敗し、水槽の水は濁ってきます。
水を汚す原因となる有機物はトイレからの汚水、台所、風呂、洗面所、洗濯など家庭からも大量に排出されます。し尿の元となっているものは、食事として取り入れられた動植物であり、台所排水にも食品が多量に含まれています。風呂や洗面からの排水にも人間の体から出た垢やセッケンがたくさん含まれていて、いずれも有機物が主な成分です。
浄化槽などは、これら汚水に含まれる有機物を微生物で分解し、水をきれいにする装置です。家庭排水のBODが200mg/あったとしても、浄化槽によって5mg/~20mg/にまで浄化します。国も浄化槽の普及に力を入れ、各地の河川の水は随分ときれいになりました。
川

ゴミ

食器 洗濯機 藻
蛇口 家庭排水には水の汚れとなる多量のBODが含まれています。また家庭排水には窒素やリンも含まれています。BODだけを除去しても窒素やリンが含まれていると太陽光と空気中の二酸化炭素とで光合成が行われ、水中の微小な藻を繁殖させて再びBODが増加してしまいます。


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