水の話
 
ありふれているようで、不思議な生き物

水中生活にも適応した体の構造
アマガエル
水中で足を伸ばしたアマガエル。足が大変長いことが分かります。
 畔道を歩くと、カエルが足元から勢いよくジャンプをします。そのとき、カエルの足は大変長く伸びています。優れたジャンプ力は後肢の筋肉が発達していることと、足の骨格にも秘密が隠されているのです。後肢をよく見ると、3つに折れ曲がるようになっています。普通の動物よりも、関節が一つ多くなっているのです。ジャンプをしたとき、カエルの後肢が長く伸びるのはそのためです。
大きく突き出た目もカエルの特徴です。水の中にいるときも目は水面の上にでています。このとき、実は耳や鼻も水面上にでています。これは、カバやワニのような水陸両方で生活する動物とよく似ています。ただ、カエルの目は頭の中に引っ込めることができます。しかも、目を引っ込めることによって、口の中のエサを喉の奥に押し込めることもできるのです。また、カエルは飛んでいる虫を捕まえられるほど優れた視力と素早く伸びる舌をもっています。舌は粘液で湿っていて、それに虫をくっつけると同時に舌で巻き取るのです。カエルはクモ、ハエ、コオロギ、ミミズなどをエサとする完全な肉食です。ところがオタマジャクシのときは水中の有機物や植物性のものをエサとする雑食性です。ただし、渓流にすむオタマジャクシは主に岩に付いた苔などをエサとします。流れがあるため口は吸盤状になり、歯も苔をそぎ落としやすいような形状となっています。

世界には珍しいカエルがいっぱい
 日本のカエルは、水中で卵からオタマジャクシとなり、やがて手足が生えて陸上に上がってきます。樹上に卵を産むモリアオガエルも、木の下には水があり、卵からかえったオタマジャクシはそのまま水の中へ落ちます。ところが、世界には、卵の中で直接カエルになるものが600種ほどいます。
世界には、珍しいカエルがたくさんいます。カエルの表面はヌルヌルしているのが普通ですが、南米のソバージュネコメアマガエルは樹上生活をしており、体から水分が蒸散するのを防ぐため、表面をワックス状のもので保護しています。アフリカツメガエルは実験動物としてよく使われますが、舌がなく、周囲の動きを手の先にある感覚器官と、体の側面にある編目のような測線で感知します。そのため、いつもバンザイをしているような格好をして、エサが近づくと手で捕まえて口に運びます。南米にいる強烈な毒をもつヤドクガエルは体長約3cmと小さく、美しい色をしています。ヤドクガエルにはたくさんの種類がいますが、吹き矢の矢尻に使われるほど強烈な毒をもつものは3種類ほどしかいないようです。
産卵方法や子育ての仕方も千差万別です。ピパというカエルはメスの背中の皮膚に卵が埋り、子ガエルとなって出てきます。
世界中にいるカエルは約4,000種ですが、これはすべての哺乳動物の種とほぼ同じ数です。いろんなカエルがいても当然かもしれません。

アカメアマガエル
アフリカツメガエル
ソバージュネコメアマガエル
アカメアマガエル(中米)
自分の体にワックス状のものを塗り、まるでプラスチックか陶器で作られた小さな置物のようです。
アフリカツメガエル(アフリカ)
指の先に黒い爪を持っています。実験動物としてよく使われるカエルです。
ソバージュネコメアマガエル(南米)
体から水分の蒸散を防ぐため、体の表面にワックス状のものを塗ると同時に、水分のロスを防ぐため、固形のおしっこをします。

ベルツノガエル
キオビヤドクガエル
コバルトヤドクガエル
ベルツノガエル(南米)
ツノといっても決して硬いツノではなく、触った感触は柔らかな皮膚と同じです。顎の力が強く、一度噛みつかれるとなかなか離れません。
キオビヤドクガエル(南米)
ヤドクガエルの仲間は約160種いて、ほとんどが2~3cmの大きさです。形は細身で鮮やかな色彩を持っています。
コバルトヤドクガエル(南米)
写真提供:鳥羽水族館
ヤドクガエルの多くはよく目立つ色彩をしています。これは、毒があるから近づくなと警告するためです。

イチゴヤドクガエル
ピパ

イチゴヤドクガエル(中米)
写真提供:鳥羽水族館
体長2~3cm。エサとなるアリを追って高い木に登れるように、指先には吸盤が発達しています。
ピパ(南米)
写真提供:鳥羽水族館
大きなものは体長約20cm。100個ほどの卵が、一つずつメスの背中に埋まっています。



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