フジクリーン工業株式会社
水の話 淡水にすむ魚part1
琵琶湖にすむ魚たち

 27兆5000億リットルの水量をもち、673.8平方キロメートルもの表面積がある琵琶湖。日本で2番目に大きい霞ヶ浦の表面積(117.8平方キロメートル)の6倍近くの大きさで、まさに日本一の湖です。水深も、もっとも深いところでは104mにも及びます。これだけの湖だけに、多くの魚たちもすんでいます。

川の魚と湖の魚
 淡水魚がすんでいる場所といえば、当然、川や池、湖です。では、川と湖では同じ魚がすんでいるのでしょうか。同じ淡水とはいっても、川と湖などでは条件が違うため、全く同じ魚がすんでいるとはいえないのです。

 川と湖で、一番大きな違いは流れの有無です。川にすむ魚は、流れにさからって泳いだり、そのために岩かげで休む必要がでてきます。しかし、湖ではそうした必要がありません。流れのある川では動物性、あるいは植物性のプランクトンは発生しないため、それらをエサとする魚は湖にすまないか、別のエサを求めることになってきます。

 2番目の違いとして考えられるのが水深です。たしかに、川の中にも水深10m以上の淵を形成している場所もありますが、湖の場合は、もっと深い場所をもつ場合があります。しかも湖は川のような流れがないため、表面の水温と底部の水温とで、大きな温度差が生じます。

約15種の固有種がすむ琵琶湖
 琵琶湖は、南の方のくびれた部分を境にして南湖と北湖とに分かれています。琵琶湖の全水量27兆5000億リットルのうち、99.3%が北湖で占められています。この大きさの違いは表面積ではなく、水深に関係しています。北湖の平均水深は41m、最も深いところは104mにも及んでいます。透明度も平均約6mときれいです。それに対し南湖の平均水深は4m、最も深いところでも約10mです。透明度も2mほどしかありません。

 琵琶湖は400万年の歴史をもち、世界の古代湖の一つに数えられています。その間に干上ったり、形や大きさを変えながらして、いまから約50万年前に、ほぼ現在と同じ形になったとされています。そして、ここには55種の魚がいます。もちろんこの中には、ブラックバスやブルーギルのように、近年になってから日本へ入ってきた帰化魚も含まれています。

琵琶湖大橋のある場所を境にして、写真では橋の手前が南湖、向こうが北湖と呼ばれています。


北湖の水は透き通っていて、きれいです。
 では、琵琶湖にしかすんでいないという固有種の魚はどのくらいかというと一般には15種といわれています。なぜはっきりと何種類という具合に特定できないかといえば、分類学上、かなり難しい面があるからです。たとえば琵琶湖の固有種であるビワマスも、1970年代頃まではサツキマスと同じアマゴの降海型と考えられていました。ところが遺伝子レベルでの研究が進むことによって、50万年〜100万年前から独自に進化した別亜種だとされたのです。

 逆に、琵琶湖だけに分布しているとされるウツセミカジカのように、カジカ属の独立種として考えられていたものが、最近の研究によって両側回遊性小卵型カジカの陸封されたものではないか、といわれているものもあります。つまり、魚の研究が進むにつれ、琵琶湖の固有種の数が変化する可能性もあるのです。


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